「ネプリライシン」。アルツハイマー病の原因物質ベータアミロイドを分解、脳での蓄積を防ぐ。今回の結果により既存の化学物質でこの酵素を活性化できる可能性のあることが分かり、予防法開発に結び付きそうだ。 チームは神経伝達物質の一種、ソマトスタチンを持たないマウスの脳ではネプリライシンの活性が下がり、ベータアミロイドが1.5倍に増えることを発見。活性の鍵をソマトスタチンが握っていることを解明した。

AGFを失わせたマウスを作ったところ、普通のマウス(平均30グラム)(写真右、慶応大提供)の2倍近い、約50グラムの肥満マウス(同左)になった。基礎代謝が低下し、内臓脂肪や皮下脂肪が多く、糖尿病の症状も現れた。逆に、AGFの量を約2倍に増やしたマウスを遺伝子操作で作り、高カロリーのエサを3か月間食べさせたが、約8グラムしか太らず、糖尿病にもならなかった。同じエサを食べた普通のマウスは、約24グラムも体重が増え、糖尿病を発症した。普通のマウスを1年間太らせた後で、AGFの分泌量を増やしたところ、肥満や糖尿病が改善されることが確認できた。