Nakamura

Poppenberger B, Berthiller F, Lucyshyn D, Sieberer T, Schuhmacher R, Krska R, Kuchler K, Glossl J, Luschnig C, Adam G.
Detoxification of the Fusarium mycotoxin deoxynivalenol by a UDP-glucosyltransferase from Arabidopsis thaliana.
J Biol Chem. 2003 Nov 28;278(48):47905-14. Epub 2003 Sep 11.

ものすごく眠いので、寝ます。
Deoxynivalenol を DON って略すセンスってどうなんだろうと思う。
11/27 記憶が薄れる前に
Deoxynivalenol (DON) は、Fuzarium 属の病原性菌が産生するマイコトキシン。DON が植物に病害を引き起こすこと。また、DON が付着した作物を人間が食べると死ぬこともあることなどから、1.1 ppm の規制値がかけられるほどの危険な物質である。おまけに高温でも壊れない。作用点リボソームで、タンパク合成阻害。
今回の論文は、DON 耐性遺伝子を Arabidopsis の cDNAライブラリーから酵母の系を用いて探索したもの。普通の酵母は ABC transporter を多数もっているため、DON を投与しても体外に排出してしまうため、生存することができる。そこで ABC transporter のうち、pdr5△、pdr10△、snq2△、yor1△ の4つが欠失し、DON を投与することで生育できなくなるような酵母を作製した。ライブラリーは phosphoglycerate kinase (PGK1) promoter を持つプラスミドに組み込んだものを用いた。前出の酵母にこの cDNA ライブラリーを発現させ、DON を投与して生き残れるコロニーを選択し、クローニングした。その結果、UDP-glycosyltransferase (UGT) と相同性の高い遺伝子がとれ、DOGT1 と命名した。
DOGT1 のプロモーターを GUS につないで組換え体植物を作ると、3DAG で道管と根の先端部で発現が見られ、10DAG でも同様。しかし、adult になると花の根元部分以外では発現が消失している。これでいいのか?さらに、14DAG 時に DON を投与すると根での発現が上昇している。RT-PCR では、DOGT1 の発現は DON 投与後2時間後から6時間後まで見られ、その後は減少する。サリチル酸や ACC、ジャスモン酸の投与では、DOGT1 の発現は見られるものの、発現量は少ない。(...と思ったが、よく見るとコントロールの UBQ5 (ubiquitin) の発現量が DON のものだけ薄い。normalize したら結局発現量は同じくらいなのかもしれない。)
N末端に myc をつないだ DOGT1 の組換え体を大腸菌で作製し、合成した基質を用いて活性の確認を行った。その結果、DON と 15-ADON だけが myc-DOGT1 によって無毒化され、NIV や 3-ADON は無毒化されなかった。んで、DON に myc-DOGT1 を加えたときの反応物は、LC/MS から 3位に UDP-glucose がついたものであると予想された。その化合物は毒性がない。よって、DOGT1 は DON の3位を glucosyl 化する活性を有していると推測される。
35S プロモーター*1 x2 に DOGT1 をつないだ組換え体植物を作製したところ、DON への耐性が付与された。
めでたしめでたしなわけだが、これが本当に vivo で機能してるかは微妙なので、応用で使えるんじゃないですか?ってところなんだろうか。うーん。
なんか聞きたいこといっぱいあったけど、ほとんど先生が聞いてくれた。いつもながら、本当に字がうまい。

*1:カリフラワーモザイクウイルス (CaMV) のプロモーター。植物体全身で、強い発現が可能。